「来日する外国人VIPは どんな対応を求めているの?」
「とても満足してもらえる時と、そうでない時の差が大きい」
「日本人も外国人も、同じ接客でいいよね?」
そんなお声に ヒントになるよう、おこたえします。
【本記事の内容】
【外国人VIP対応】日本人がよくしがちな “逆効果おもてなし”3つ
✔ 記事の信頼性
私たちは、客室乗務員や外資系企業で働いた経験のあるメンバーが集まり、“国際標準の接客” を専門として、 日本・海外 両方の 大事なお客様への対応に特化したコンサルティング&研修 をしています。
個人レッスンから、飲食店・小売店、企業や学校、オリンピックや コンサート、G20ほか 多種多様な現場に関わってきました。そんな経験から、この記事が皆さまのお役に立てたら嬉しいです!
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VIPへの接客 と聞くだけで 緊張するのに、外国人VIPへの対応なんて ムリムリ・・・と、腰が引けてしまう そんな気持ち、とてもよく分かります。 また、これまで試行錯誤で、急にいらっしゃった海外VIPゲストに対応してきたけれど、本当にこんなおもてなしでよいのかなぁ、と不安に感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。 今日は、私たち日本人が、海外VIPゲストに「喜ばれると思って している」けれど、「実はあまり喜ばれない、逆効果のおもてなし」 についてご紹介し、喜んで頂ける接遇のヒントや 考えるきっかけ、に活用していただければ嬉しく思います。
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皆さんは、これまでのご自身の経験から「こうすると 相手に喜んでもらえるだろう」、「これはご不満につながるだろう」と判断することが多いほうでしょうか? 社会人歴や接客歴が長い人は、「こんなケースでは こんな対応が良い・悪い」などと それまで積み重ねてきた経験によって、相手の望むような素晴らしい対応をなさってきたこととと思います。 ただ、1つ注意したいのは、これまでの経験 というのが、主に日本人のお客様への接客だった場合、「日本人が喜ぶんだから、日本人以外の人も喜ぶはず」という 思い込みになっているかもしれない、ということです。
一つの例をお話したいと思います。皆さん、航空会社のCMを見たことはあるでしょうか? いろいろなCMのバージョンがありますが、「座席で眠る 乗客に ブランケットをそっとかけるフライトアテンダント」は、よく使われるシーンです。そして、そんな “細やかな気遣い” を、CMだけでなく、実際の機内でも、特に日本人のフライトアテンダントがすることがあります。 しかし、これは万人に喜ばれる気遣いでしょうか? これについて、とあるイギリス人VIP顧客は、「自分は暑がりだから毛布はいらない。もし、毛布を使っていて、その毛布がずれていたとしても、それは、自分で温度調整しているのだから、かけ直す必要はない」とおっしゃいます。 これを聞いて、「へそ曲がりだ」と感じた人は、もしかすると、思い込みのおもてなしをしている可能性があるかもしれません・・・。
実は、欧米の人は、日本人と比べて、同じ室温でも、部屋が暑いと感じることが多くあります。体感温度や平熱の違い などが一因ですが、欧米のお客様が快適だという室温に合わせると、同席の日本人がブルブル震えるほどだった ということもあります(笑) 講演会場・会議室・食事の席などでは、お客様に 部屋の室温についてのご希望をきちんとお聞きして、温度調整に配慮するといいですね。
日本の航空会社で働くフライトアテンダントの場合、主に日本人乗客向けのご満足にフォーカスした接遇教育を受けるため、実は、海外ゲスト接客レベルには個人個人でかなり差があります。そのため、「寒いだろうから毛布をかけよう」となることがあり、先ほどのイギリス人VIPのコメントのような結果になってしまうわけです。
他にも、旅館やホテル・レストラン・小売店・乗り物・オフィスや工場の視察ほか、各場面で“逆効果おもてなし例” はたくさんあり、私どもの研修でもいろいろお伝えしていますが、このセクションで伝えたいことをまとめますと、「日本人同士の間では良い評価になることが、必ずしも海外ゲストにも良いと評価されるとは限らず、想定外に不満を与えてしまう可能性もある」ということを念頭におき、海外ゲストに向けた シフトチェンジ・柔軟なアレンジを心掛けると、本当の意味での 国際標準の接遇になるかと思います。
そもそも、「外国人のお客様」というのは、ずいぶん大き過ぎる くくり ですよね(笑) 日本人の人口は、1億2547万人【総務省:2021年12月1日現在】に対して、2021年の世界の人口は、78億7500万人【世界人口白書2021~国連人口基金(UNFPA)発表】ということで、「外国人」というのは、約77億人を対象にしていることになります。
また、“外国人”(“外人”という呼び方も 時々 耳にします)という呼び方についてですが、海外ゲスト対応の経験が豊富な人達は、“外国人”をどう呼ぶことが多いかというと、具体的な国籍「スペイン人」や、「シンガポール(からお越し)のお客様」、という呼び方をよく使う傾向があります。 普段、“日本人が主な顧客対象”の職場だと、日本人以外の人と接することが少ないので “外国人” とまとめて言うことが多いかもしれません。それに、日本では非日本人(non-Japanese)を “外国人” と言う人が多いので、日本国内の共通ワードとして、私どもも 研修などで最初にお話する際は “外国人” と呼ぶこともありますが、通常は、”外国人”とは呼ばず、〇〇人ゲスト・〇〇からお越しのお客様・訪日VIP・海外ゲスト・国内外 両方のゲスト・多国籍スタッフ などと呼んでいます。
呼び方の問題は一旦おいておき、“外国人”とひとまとめにして、おもてなしの準備をしたり 接客をすると、少々困る問題が生じます。 それは、世界には196か国あり【外務省:2021年4月】、各国の国民性や、接客で重視すべきポイントが違うなか、十把一絡げに扱うと、お客様にあまり喜んでもらえないことです。 同じ国の人でも、それぞれが信じる宗教・出身地域・環境などによっても、喜ばれる対応は変わってくるので、本来 ベストな対応は、個人個人に目を向けた 個別の要望に沿った柔軟な対応です。 もちろん最初から、「国籍や、その国の文化背景や流儀を意識したうえで、さらに個人のご要望に沿って対応する」というのは なかなか難しいのも事実ですが、少なくとも、「あ、外国の人来た!」と、最初から最後まで 日本人か外国人かだけで、対応を区別することを避ける、というのが まず取り組みたい第一歩といえるでしょう。
それぞれの国の人が自分の国に誇りをもっています。 外国 ではなく、その人の国を尊重する、ことで気持ちが伝わります。 実際に、2つの国家の重要人物同士が会うような場面では、相手の国旗に使われている色をファッションに取り入れたり、部屋のかざりに、相手の国花を選んだり、と工夫することがよくあります。海外からの大切なVIPの場合は、その人の国と、その国の流儀、そして、さらにその人のリクエストに柔軟に対応する、という姿勢は、ぜひ意識したいポイントですね。
海外から日本にお越しのお客様は、どのようなことを望んでいらっしゃるのでしょうか? 滞在中、ご自身が快適に過ごせることは大前提として、訪れている国・場所のことや、さまざまな違いや類似点を知ったり、体験したり、刺激を受けたりしたい という気持ちがあります。これは私たちが海外を訪問するという 逆の立場で考えてみると、想像がつきますよね。
日本では、自分の家族や会社ほか、自分にかかわることは、控えめに謙虚に話すことが美徳だったりしますので、最低限の情報をシンプルに話すことも多いでしょう。しかし、海外からお越しの人とは 共通の背景や共通理解が少ないぶん、補足情報も積極的に追加して伝えないと、興味を持ってもらえる話にならないことが多々あります。
また、そもそも、自分自身が、どれだけ日本のこと(基本情報、伝統文化、新しい“カルチャー”、習慣ほか)や、自分が住む地域のことを知っているでしょうか? 海外に住んだり働いた人が 困ったことトップ3に入るのが、「日本のことをあれこれ聞かれること、そして、それに答えられないもどかしさ」です。
海外の人と接する時、海外に行く時、ついつい相手の国にばかり、意識が向きがちですが、自国のこと・自分に関わること(地域や仕事、家族ほか)も、話せるように準備しておきましょう。 特に 海外VIPゲストのなかには、知的好奇心が高かったり、既に日本文化にかなり造詣が深い方も多くいらっしゃり、とても突っ込んだご質問をなさることもあります。もちろん、すべての分野の質問に完璧に答えられるように準備することは、難しいかもしれませんが、少なくとも、一般的な内容にプラスして、相手の方がご興味を持ちそうな分野については、事前に調べるなど準備しておくといいですね。
今回は、【外国人VIP対応】日本人がよくしがちな “逆効果おもてなし”3つ をみてきました。 訪日VIP顧客への接遇のために、皆さんがそれぞれの現場で、知恵を絞って努力されていることを私どもはよく理解しています。
もし、せっかく頑張っていらっしゃる内容が、空回りや逆効果だと もったいないので、皆さんの接客や交流の場が有意義なものになるようなヒントになっていれば、嬉しく思います。海外VIPをお迎えするにあたっての準備リストの作成や接客監修、また、外国人VIP対応のための楽しいトレーニングもご提供していますので、よろしければ お気軽にお問合せください。(研修や接客支援・監修のお問合せはこちら→ https://4cs-i.com/contact/ )
それではまた次回、お会いしましょう。最後までお読み頂いてありがとうございました!
〈2022年1月21日投稿〉
株式会社フォーシーズインターナショナル
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