「公共のマナーにはどういうものがあるか知りたい」
「子どもに公共のマナーを伝える時、気を付けることはある?」
「エスカレーターってどちら側に立つのが正解?」
こういったお声に おこたえします。
【本記事の内容】
今、確認しておきたい 公共マナー38例を8つの場面で紹介
✔ 記事の信頼性
私たちは、客室乗務員や外資系企業で働いた経験のあるメンバーが集まり、“国際標準の接客” を専門として、日本・海外 両方の 大事なお客様への対応に特化したコンサルティング&研修 をしています。
個人レッスンから、飲食店・小売店、企業や学校、オリンピックや コンサート、G20サミットほか 多種多様な現場に関わってきました。そんな経験から、この記事が皆さまのお役に立てたら嬉しいです!
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公共のマナーとは、そもそも何でしょうか? あらためて聞かれると、答えに詰まってしまうかもしれません。
公共のマナーとは、「不特定多数の人が使う場所での、他の人への配慮」 を指します。 公共のマナーを意識して行動しないと、結局、周囲の人へ迷惑な行為、つまり、不快に感じさせる行為をしてしまっていることになります。
実は、公共のマナーは、時代と共に変化しますし、どうすべきなのか、必ずしも明確な一つの正解が言えない、やや曖昧な定義のものもあります。ただ、本来は、「自分がこうすることで不快に思う人がいるかもしれない」と考えられる想像力を持ち、それに沿って行動するのが何より大切なことです。
この記事をお読みの多くの皆さんは、そもそも公共のマナーの記事を読もうと思ったわけですから、マナーへの意識が高いのではないかとお察しします。ただ、もしかすると、一つくらい「あ、そういえば、こんなこと、してしまっているかも」と、意識が向いていないポイントを発見なさるかもしれません。また、公共のマナーをお子さんに伝える保護者の方や、公共マナーをご指導なさる教育団体の方、利用者にマナーの啓発をしたいという施設の方などは、「これはダメ!」とだけ言うのではなく、なぜダメかの理由も、ぜひ一緒に伝えて差し上げてくださいね。理由がわかることで、似たような例でも、応用がきくようになり、逐一すべてのマナーについて伝える必要が 少なくなるかと思います。
すべて、NG項目について、書いています。電車やバスは、通勤・通学で込み合った車内を経験している人も多いかと思いますので、「あー、そうそう、これをされると嫌だわぁ」などと共感されたかもしれませんね。 実際のところ、全部をこまかく書くと もっと多くの数になりそうです・・・。つまり、狭い空間で、不特定多数のさまざまな背景を持つ人が利用する場所、というのは、それだけ、他の人を気遣う気持ちが求められる、ということです。
乗客同士で、マナーが原因で嫌な気持ちを経験する人が 一人でも減るように、鉄道・バス会社側も、車内マナーの啓発活動をなさっています。 お聞きした話なのですが、「公共マナーの違反というのは、あれもこれもと、すべての項目でマナー違反する人は珍しい。あることは出来ているが、このポイントだけ違反という 限定した公共マナー違反の人の方が圧倒的に多い」~ これは、確かにそうだな、と納得できるのではないでしょうか。
例えば、「並ぶ列に割り込んだり、入口付近で立ち止まったりしないけれど、車内で携帯で話す」とか「携帯電話を使ったりはしないが、自分の荷物は横の席に置きたい」というように、公共マナーのいくつかのポイントを守っている(意識が向いていないポイントは、無いものとして・・・)ことで、自分のマナーが良い、と思い込んでいる場合もあるかと思います。ひとりひとりが、自分の気づいていない公共マナーのポイントを知ることで、公共の乗り物での体験が、もっとストレスなく、気持ちの良いものになるかと思います。
エレベーターは、乗る時間は短いものの、電車やバスより、もっと狭い個室だからこそ、マナー良く振舞いたいものです。先に降りる人のために、ドア付近の人は、一旦エレベーターから降りる、とか、操作してくれた人には、お礼を言うと、お互い気分が良いですよね。
エスカレーターについては、弊社が、国際標準のマナーを専門にしていることから、「右側に立つ・左側に立つ、どちらが海外では正式なマナーなのか」と聞かれることがよくあります。エスカレーターについて書くと、随分長くなってしまうので、不要な方は、次の場面に読み進めてください(苦笑)。
日本では、1970年に開催された大阪万博の「動く歩道」に、国際化に対応しようと英国式のマナーが導入されました。また、同じ頃、阪急電鉄が梅田駅で「利き手が右手の人が多いので、右手で手すりにつかまりやすいように 右側に立つ」方式をすすめたということもあり、エスカレーター片側立ち方式 の発祥は、日本では大阪だったということが知られています。さて、右側・左側のどちらをあけるかについてですが、国際的に主流なのは、「右に立って左をあける」方式です。イギリスだけでなく、アメリカ・フランス・ドイツなどヨーロッパ、アメリカや中国ほか、圧倒的に多くの地域で、「右立ち方式」です。
しかし、日本ではどうでしょう。皆さんよくご存じかと思いますが「右立ち方式」の関西と、「左立ち方式」の関東、と言われますが、実は、北海道や九州、名古屋など、関西以外の日本の地域でも「左立ち方式」で、日本の主流は、国際的な主流の逆の「左立ち方式」となっています。この理由としては「自動車が左側通行なので、それに合わせた」という説があります。
ということで、国際的な主流は「右側立ち」、日本の主流は「左側立ち」で、これまで、急いでいる人が歩けるように片側を空けるのが、エスカレーターの正しい乗り方だと、多くの人に許容されてきたのですが、これに伴う事故が多いのも事実です。急いでエスカレーターを駆け上がったり、駆け下りたりするときに転んだり、立っている人にぶつかって転倒させるなどして、重傷事故や時には死傷事故が発生することも少なくないのです。 元々エスカレーターは歩く構造になっていないから「歩行禁止!」と、エスカレーターの製造会社や鉄道会社も啓発キャンペーンをしていますが、一度染みついた習慣は、なかなか変わらないようです。
また、体の片側に麻痺があるとか、片方の腕や脚をケガするなど、エスカレーターの左側または右側に寄れないとか、使えるほうの手で手すりに摑まる必要がある人もいます。だからといって、首都圏で通勤・通学の時間帯に、右側に立ち止まるのは、かなり勇気がいるでしょうし、心無い言葉を言われるといったトラブルの原因にもなりますよね。
埼玉県では、エスカレーターは立ち止まって利用を義務化する条例が出たり、千葉県の海浜幕張駅では、片側ではなく両側に一つおきに立つ、ジグザク乗りのために、足型マークをつけたり、東京都理学療法士協会が「わけあって こちら側で止まっています」ヘルプマーク(*妊婦さんのためのマタニティマークのような)を作成したり、この点については、まだまだ議論が必要です。 「歩行禁止に賛成」「世界でも主流の『片側立ち』のままでいいじゃないか」といろいろな考え方がありますが、そもそも混雑を解消するといった解決策も、一緒に考えるべきで、まだすぐには、結論が出なさそうですね。皆さんは、どう思われますか?
雨の日の外出は、多くの人にとって、憂鬱なものかもしれません。込み合った場所では、余計にイライラしたり・・・。ということで、お互いが少しでも気持ちよく過ごせるように、傘の扱いには、特に注意しましょう。
もし、点字ブロックの上や、歩道にかかって、自転車が置いてあると、歩行者がスムーズに歩けず、横に飛び出した瞬間に、近づいてきた車や自転車にぶつかる、なんていうことが起きるかもしれません。安全のためにも、自転車の放置だけでなく、邪魔になりそうな場所での友達との立ち話、座り込みなどは、十分に配慮する必要がありますね。
病院は、体調の悪い人がいらっしゃいますので、十二分に配慮する必要があります。子どもさんが廊下を走って、ケガをした人にぶつかった、なんてことも実際にあります。病院以外にも、図書館や、静かなコンサート会場、映画館 など、静かにすることが求められる場所では、ひそひそ声で話し続ける・プラスティック袋の音、などちょっとした音でも、迷惑になることがあります。
トイレットペーパーは端を三角に折るほうが、上品だと思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、あの三角折りは、接客業の人がトイレ掃除やトイレチェックが完了したという印にするものですので、次の人のために、ということで、通常折る必要はありません。逆に、次の人が使う部分を素手で触っていることになり、衛生的ではありませんので、控えましょう。
タバコの煙は、本人だけでなく、周囲の人の健康への影響(受動喫煙)が大きく、最近では、三次喫煙 つまり、喫煙後に周囲(服や室内)に残る化学物質を周囲の人が吸入すること のリスクまで言われ始めていますよね。 きついタバコのにおいがするスーツを着た人と満員電車で隣り合わせになり、頭痛がしてきた・・・という人もいらっしゃいます。
また、タバコの火の温度は、非常に高温で、なんと700~1000度にもなると言われ、歩きながらの喫煙は、すれ違う人にやけどを負わせたり、衣服を焦がしてしまうかもしれない とても危険な行為です。特にタバコを持つ手の高さは、子どもの顔付近になることもあり、子どもの目をやけどさせるなど、重大な事故につながる可能性があります。
では、道にポイ捨てされた吸殻には、どんな危険があるでしょうか? 散歩中のペットが拾い食いしてしまったり、乳幼児が誤飲する危険があります。また、完全に消えていない吸い殻の場合は、火種となり、火災にもつながりかねません。
タバコを吸う人は喫煙マナーを守り、吸う人と吸わない人が共存できる社会を目指したいですね。
最後は、最近よくご質問を受ける、マスクについてのマナーです。皆さまご承知の通り、新型コロナウイルス感染症の5類への移行にともなって、マスク着用に関しては、個人の選択を尊重し、個人の判断を基本とするというのが、政府の方針になりました。 マスクといえばコロナ感染予防、というイメージが強くついているかもしれませんが、コロナ以外の理由から、具体的には、インフルエンザ・花粉症(春だけでなくそれぞれのアレルゲンが影響を与える時期)・心理的な理由ほかで、マスクを着用している人がいらっしゃいます。他の人に対して、事情を知らないのにノーマスクを求めないよう配慮しましょう。また、逆に、自分自身が、咳やくしゃみが頻繁にでる体調なのに、人込みでマスクをしないのは、コロナウイルス云々を抜きにしても、近くにいる人が気持ち良く過ごせないことから、気配りが必要でしょう。
今回は 公共のマナーは時代と共に変わる〔今、確認しておきたい 乗り物・道・トイレ等での公共マナー38例〕 についてみてきました。いろいろと、ご自身や周囲の人のことを振り返って、考えることがあったかもしれませんが、どんなことでも、まず「意識が向いていないポイントに気づく」ことが、解決への第一歩と言えます。社内や知り合いに対してだけマナーが良いのではなく、不特定多数の人への公共マナーも良い振舞いを見ると、きちんとした人だな、という好印象・信頼感につながります。
公共のマナーは、どこまでどのように人にお願いするか、悩ましいところです。利用者様へのマナー啓発活動をお考えの企業や団体様、公共のマナーを浸透させるためのポスターや活動企画など、マナー啓発実施の支援も行っていますので、よろしければ お気軽にお問合せください。(マナー支援・マナー研修のお問合せはこちら→ https://4cs-i.com/contact/ )
それではまた次回、お会いしましょう。最後までお読み頂いてありがとうございました!
〈2023年12月5日投稿〉
株式会社フォーシーズインターナショナル
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