「大事なお客様対応の経験が浅いスタッフに、何を教えればよい?」
「VIPゲストのどんなポイントを覚えておくと、良い関係が作れる?」
「顧客満足をあげるためのコツが知りたい」
そんなお声に ヒントになるよう、おこたえします。
【本記事の内容】
日本人VIP接遇 & 外国人VIP接遇で “記憶”すべき 7ポイント(後編)
*1~4は前編、5~7は後編 に記載
✔ 記事の信頼性
私たちは、客室乗務員や外資系企業で働いた経験のあるメンバーが集まり、“国際標準の接客” を専門として、 日本・海外 両方の 大事なお客様への対応に特化したコンサルティング&研修 をしています。
個人レッスンから、飲食店・小売店、企業や学校、オリンピックや コンサート、G20ほか 多種多様な現場に関わってきました。そんな経験から、この記事が皆さまのお役に立てたら嬉しいです!
(㈱フォーシーズインターナショナルの情報についてはこちら)
今日は、 前編 → こちらの記事 に引き続いて、VIP接遇に必須とされる 接客者の “記憶” の活用 について考えていきましょう。
VIPとは、公職の立場にある著名人だけでなく、自社にとっての大切なお客様 という広い意味が想定されますが、例えば、ある時、急に社内で「〇さんに、大事なお客様の対応を任せよう」などと言われるわけです。 そして、これを光栄なことと、と感じる人もいれば、「え?なんで私が?」と胃が痛くなる人もいらっしゃるようです(笑) そうして慌てて、私どものVIP対応研修に興味を持たれる、ということも実際よくあるのですが、今回の記事は、VIP対応の準備のために、また、VIPではなくても、大切にしたい人への接し方のヒントとしてご活用いただければ嬉しく思います。
【VIPについて その他の記事】
お客様のご興味や、お好きなモノ・事について 知っておくことは、当然ながら、より心地よい空間や 楽しめる体験をしていただくことにつながります。 具体的には、Aさんは 現代アートに興味がある、Bさんは スポーツ観戦が好き、Cさんは 和食器に興味がある、Dさんは黄色が好きで自身のラッキーカラーだと考えている、などなど。 お客様の『好き』『興味』を知っているということは、接客で提供する内容を考える際、会話をする際、おススメをする際などに、大きなプラスになるでしょう。 例えば、飲食店でのお食事でしたら、お好きな食材や、お好きな味付けなどを 取り入れることもできますよね。 また、ご本人が好きとまでは、強く意識なさっていなくても、誰しも生活のルーティーンになっているようなことがあります。例えば、新聞は〇紙、雑誌は〇、食後の飲み物と言えば〇、のように。
ホテルでは、部屋にお届けする新聞は、お客様にあわせて、この方にはA新聞、というようにお好みが情報共有されていますし、飛行機の機内サービスでも、このお客様にはB新聞・C雑誌、などとそのお好みが引き継ぎされています。 私どもも、VIP対応の際は、例えば コーヒーに入れる砂糖やミルクのお好み、一日のなかでこの時間帯は休息を取りたいというご希望、部屋にもどられたら毎度おしぼりと冷たいお茶が必要、などなど、一度だけのやり取りからも、お好みについての情報や多くのシグナルを受け取って、何度も聞かなくてすむように、記憶と情報共有をしています。
この『好き』を知って覚える・活用する点については、VIP接客に関わらず、皆さんも、ふだんの生活で工夫されているのではないかな、と思いますので、とてもイメージがしやすいかもしれません。 身近な例を少しあげてみたいと思います。例えば、友人が家にくるのでどのようにおもてなししようか、と考える時、あの人は、この食材が好き、カジュアルな雰囲気が好き、こんな音楽が好き、など、『好き』を取り入れようとなさっているのではないでしょうか。 他の例では、美容院などで、雑誌を渡される時に、ご自身の興味にあった雑誌であれば「気配り」を感じられるけれど、反対に、なぜ私にこの雑誌を?という種類だったり、え?その年齢に思われたの?という種類だったりすると、衝撃を受けて(笑)、「自分を理解してもらえている」という安心感や満足感にはつながりませんよね。やはり、これまでの会話や、これまでの利用時に熱心に読んでいた・楽しんでいたことなどを 見て覚えていてくれた、という部分は、全体的なサービスの満足度に大きく影響します。
「記念日って、なんの?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、すべての記念すべき日 のことで、つまり、お誕生日・結婚記念日・会社の周年行事といった、一般的なお祝い事以外にも、ちょっとしたプライベートな嬉しいことも含みます。 海外とくに欧米では『祝うことが文化』とも言えるほど、記念日などお祝い事を大切に考えます。祝い上手・祝われ上手と、言い換えることもできるでしょう。 どうか、「あれ、お誕生日は先週だったっけ?」といったことにならないよう、きちんと記憶する・記録するなどして把握しておきましょう。
お祝いについては、本人には内緒でサプライズにしたり、祝う内容によって、ささやかに~盛大に、いろいろな規模で祝います。 お花やプレゼントを贈る、特別なデコレーションをする、ケーキをお出しする、といった お祝いの仕方でなくても、ちょっとしたカードにメッセージを残す、だけでも、内容を工夫することで十分に喜んでいただけます。 この点については、残念ながら私たち日本人は、オリジナルな内容というより、形式を重視して一般的な内容になりがち(お店で買ってきたバースデーカードに、Happy birthday! と書くだけなど)といえますが、例えば、半紙に墨でメッセージを書いて赤いハンコ付き、などにすることで、ぐんとオリジナリティがでて、気持ちが伝わります。実際、それを受け取った あるVIPゲストは、「読めないけれど(笑)、嬉しくて自慢して、額にいれて飾っている!」ととても喜んでいらっしゃいました。
翻訳家の戸田奈津子さんが、トムクルーズさんから、「御歳暮 トム・クルーズ」と縦書きの熨斗までついた お歳暮をもらった、というわりと有名なエピソードがありますが、少し意表を突く工夫があるといいですね。 一般に、ただただモノを贈るのが贈り物・お祝いではなく、贈るに至ったストーリーを伝えたり、ちょっとしたオリジナルの工夫こそが、相手に気持ちを伝えてくれるものです。「以前お話していた時に、器の薄さにおどろいていらっしゃったので」とか、「この香りは落ち着く、とおっしゃっていたので」のように。
お会いしている時・滞在中に祝うことがあれば、ささやかであっても、気持ちを必ず伝えることをおすすめします。 また、滞在中でなくても、いつもご愛顧いただいている、または、ある機会に大変お世話になったVIP顧客であれば、会社やご自宅にお祝いのカードをお送りするといいですね。
どういうタイプの接客がお好きか、きちんとフォーマルがいいのか、カジュアルな雰囲気のほうが落ち着くからいいのか、控えめがいいのか、こまごまと積極的にケアするのがいいのか、ユーモアある会話ができるような接客がいいのか、などなど、人には接客に対する基本的なお好み・接客に求める優先順位があります。もちろん、同じお客様でも状況に応じて、必要な接客は違いますが、基本姿勢について、という意味でお考えいただければと思います。
これまでに、お客様からいただいたフィードバックも覚えておきたいところですね。これまでどんなことを喜んで下さったか、何に対して、良いと評価して下さったのか、実際に自分達に対してでなくても、その方のお話の内容から、「こういうの困ったんだよね」というコメントも、自社の接客に生かすことができるでしょう。
お話好きなAさんは、聞き上手な接客/それができる人がよくマッチするでしょうし、せっかちを自認するBさんは、スピーディーな対応/それができる人がよくマッチするでしょう。 とはいっても、そのマッチングのために、たくさんのスタッフが必要と言っているのではありません。 接客のプロは、相手の求めるものに応じて、カメレオンのように自分をアレンジできるため、つまり、自身がどのような姿勢でいないといけないかがきちんと分かり、それに合わせられるので、1人で大丈夫なんですね。 よくある失敗の原因がここに潜んでいるのですが、ある一つの成功体験に引きずられて、いつもそのやり方で進めようとしてうまくいかない状況が、たまに見られますが、これは、相手が違うのに、一度成功したやり方がオールマイティだと思いこんでしまった失敗パターンということなんですね。 接客経験を重ねても、いつも謙虚に、相手の好む接客姿勢や、求めるもの、にアンテナをはって対応することが、なによりも大切なことだと思います。
今回は、日本人VIP接遇 & 外国人VIP接遇で “記憶”すべき 7ポイント(後編) をみてきました。 “記憶” を生かした接客対応は、相手にその努力や誠意がよく伝わります。そして、自分のことをよく分かってくれている、分かろうとしてくれている、と価値を感じて下さることにつながります。
逆に、他のお客様のことと混同したり、複数回利用しているのに「はじめまして」という態度では、人の承認欲求は全く満たされず、その場・その店で、歓迎された心地よい空気を感じることはないでしょう。皆さんの努力や気遣いがきちんと伝わり、接客や交流の場が有意義なものになるよう、VIPをお迎えするにあたっての準備リストの作成や接客監修、また、国内外VIP対応のための楽しいトレーニングもご提供していますので、よろしければ お気軽にお問合せください。(研修や接客支援・監修のお問合せはこちら→ https://4cs-i.com/contact/ )
それではまた次回、お会いしましょう。最後までお読み頂いてありがとうございました!
〈2022年2月5日投稿〉
株式会社フォーシーズインターナショナル
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