「ベジタリアンのお客様が来る・・・何に気を付けたらよい?」
「何を食べるの?食べないの?」
「なぜ、ベジタリアンになったんだろう?」
こういった疑問に おこたえします。
【本記事の内容】
✔ 記事の信頼性
私たちは、客室乗務員や外資系企業で働いた経験のあるメンバーが集まり、“国際標準の接客” を専門として、日本・海外 両方の 大事なお客様への対応に特化したコンサルティング&研修 をしています。
個人レッスンから、飲食店・小売店、企業や学校、オリンピックや コンサート、G20サミットほか 多種多様な現場に関わってきました。そんな経験から、この記事が皆さまのお役に立てたら嬉しいです!
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日本でも、ベジタリアンという言葉が随分と広まってきましたが、それでも、日本ではベジタリアン人口が約5%と 世界的に見て少ないため、 “野菜だけを食べる人でしょ?”という漠然としたイメージで、詳しくは知らない方も多いと思います。
私たちの研修でも、「ベジタリアンと言っている人が、お肉も食べていた!?なぜ?」とか、「今度、ベジタリアンのお客様が来るからよろしく、と言われ、どんな準備をしたらよいのかわからない」といろいろご相談を受けることがありますので、今日は、驚くほど多種多様なベジタリアン、また、おもてなしする時にはどうしたらよいか、なぜベジタリアンなんだろう・・?という素朴な疑問なども含めて、ご紹介したいと思います。
ベジタリアン〔Vegetarian〕という言葉は「健全な、新鮮な、元気のある」という意味のラテン語 「vegetus」 に由来し、この言葉は英国ベジタリアン協会発足の1847年に、初めて使われました。
現在「ベジタリアン」という言葉には、いろいろなタイプのベジタリアンが含まれており、制約がとても厳格な種類から、「お肉?たまに食べますよ」という種類まで、いろいろあります。それぞれに、細分化された名前がありますので、次のセクションで、ベジタリアンの種類と、その内容を見ていきましょう。
食べ物だけでなく、衣食住のすべてにおいて、動物性のものを利用しないのがヴィーガンです。ヴィーガンの人たちは動物に苦しみを与えることを嫌うことから、肉・魚介類・卵・乳製品・ハチミツを食べず、また動物製品(皮製品・シルク・ウール・羊毛油など)を身につけません。尚、ヴィーガンという言葉は、1944年に作られました。
ダイエタリー・ヴィーガンは、食事に関しては、ヴィーガンと同じで植物性食品のみ口にしますが、食用以外の動物の利用まで、避けるわけではありません。
オリエンタル・ヴィーガンは、ヴィーガンという名前がついているので、上記のダイエタリーヴィーガンと同じく、植物性食品のみ食べるのですが、植物性食品のうち「ネギ・にんにく・にら・らっきょう・あさつき」の五葷(ごくん)は食べないという考えです。仏教の修行の妨げになるため、とか、東洋の思想のなかで、五葷を食べることで体内バランスが崩れやすくなり、心臓・肺臓・肝臓・腎臓・脾臓を傷つけるという考えがあるためです。
これを読んだ方の「え~? ネギや、らっきょうは体に悪いの?」という、驚きの心の声が聞こえます・・・(笑)
フルータリアンは、ヴィーガン に似ていますが、ヴィーガン との違いは、植物性食品のなかでも、植物の生命を絶たない食品のみを食べることです。 つまり、みかんやリンゴの果実を収穫しても、木はそのまま生き続けますが、イモやニンジンなどの根菜類を収穫すると、その植物は死んでしまうので食べない、ということです。果実であるフルーツやナッツを食べ、果実主義者とも訳されます。
ラクト・ベジタリアンの、ラクトは、乳・乳製品 を意味するので、植物性食品に加えて、チーズや牛乳、ヨーグルトなど、乳・乳製品を食べる人たちのことを指します。乳菜食主義者とも訳されます。
オボは卵という意味で、植物性食品に加えて、卵を食べる人たちのことを指します。卵には魚卵も含みます。卵菜食主義者とも訳されます。
植物性食品に加えて、乳・卵を食べる人たちのことを指します。上記の5と6を合わせたタイプで、欧米のベジタリアンの大半がこのタイプです。乳卵菜食主義者とも訳されます。
肉は食べないけれど、魚や卵、乳製品は食べるのがペスコ・ベジタリアンです。昔の日本人の食生活は、このペスコ・ベジタリアンではないか、と言われているようです。
ちなみに、この8番のぺスコ・ベジタリアン以降の種類については、世界的なベジタリアン推進団体である 国際ベジタリアン連合〔The International Vegetarian Union(通称 IVU) 1889 年設立、本部はイギリス〕は、現状では、ベジタリアンとは認めていません。
家禽類である鶏肉・七面鳥・カモなどは食べますが、それ以外の肉は食べない人たちです。こちらもIVU(国際ベジタリアン連合)は、現状では、ベジタリアンとは認めていません。
セミは、「半分」とか「準」の意味で使われていますので、準菜食主義者とも訳されます。セミ・ベジタリアンは肉を食べますが、できる限り肉の摂取量を減らし、植物ベースの食事を摂っています。
ちなみに、フレキシタリアンとも言われますが、フレキシタリアンとは、“柔軟”を意味する「フレキシブル(Flexible)」と「ベジタリアン(Vegetarian)」をかけ合わせた造語です。柔軟なベジタリアンということで、日本では「ゆるいベジタリアン」とか「ゆるベジ」とも呼ばれます。
マクロビオティックは、欧米のベジタリアンとは少し考え方が異なっています。というのも、海外の有名人が実践していることでも有名なマクロビオティックですが、実は発祥は日本だからです。 明治時代に食医と呼ばれた石塚左玄(1851-1909)が考えた食養生に感銘を受けた桜沢如一(1893-1966)が、中国の「易」の陰陽の要素を加え、玄米菜食を基本とする「正食」を確立したもの。 欧米名をマクロビオティックと名付け、世界に広まり逆輸入のような形で日本にも浸透してきました。
注意したいのは、その内容が人によって大きく異なるところです。例えば、陰陽バランスをとるために肉や魚・卵や乳製品などは食べるという人から、一切の動物性食品に加え、添加物・農薬までをも口にしないという人までさまざまです。また、マクロビオティックは流派がいくつかに分かれているので、どの流派かによって内容も様々なので、幅が広いという特徴があります。
ローフード(生食主義)、リビングフードとも言われ「食材をなるべく生か低加熱で食べ、食材の酵素やビタミン、ミネラルを効率的に摂取しようとする食生活」を実践する人のことを指します。 酵素は高温に弱いので、食材によっても違いますが、40-48℃以下で調理をされているものを食べるという考えがローフードです。
生や低加熱で、肉は食べることが出来ますが、もし、ビーガンと組み合わせて、「ロー・ヴィーガン」となると、「ヴィーガンの食事」かつ「生か低加熱」 ということになります。
先ほどの ベジタリアンの種類と内容 を読んで、ベジタリアン以外の読者の方のなかには、こう思った方もいらっしゃるでしょう。「うーん、種類があり過ぎる。」「食べられない食材がいっぱいで間違えないかな・・・」と。12種類のすべてを細かく覚えるのは難しいですよね。 自分の頭のなかで、ベジタリアンには、だいたいどういうものがあるのか、大別しましょう。Vegan ヴィーガン という言葉と内容は押さえておきたいのと、それに加えて、
この5つがベジタリアンで登場するカテゴリーの 大事なキーワードですので、この5つを最初に覚えるとよいかと思います。
5つすべての食材が使用NGになった場合は、さらに、「五葷(ねぎやニンニクなど)」や「すべての野菜(根菜類)」が大丈夫かについても尋ねると、オリエンタル・ビーガンとかフルータリアンであることが判別できます。
「どこまで厳格なベジタリアンなのか」、「どんな種類のベジタリアンなのか」、「何を食べないことにしているのか」、これについては個人の判断基準によっても変わるため、“お客様がベジタリアン” だという情報を知ったら、勝手に判断せず、もう一歩踏み込んで、どのようなベジタリアンか(種類)、何を材料として使ってはいけないかの確認 を個別にしましょう。
そうすることで、「ベジタリアンだと聞いて、厳格に材料を制限して準備したら、ペスコ・ベジタリアンだった」とか、逆に、「ベジタリアンと聞いたから、とりあえず野菜メインで出せばよいと思って、お出汁に魚を使ってしまったら、食べてもらえなかった」 などという残念なことが、防げます。
尚、ベジタリアンでない人にとっては、どれが動物性食品で、どれが植物性食品なのかを普段あまり考えていないということもあり、判別が結構難しいですよね(苦笑)
食事をご準備なさる方のために、動物性食品を下記に書きますので、参考になさってください。カツオの出汁とか、ゼラチンは、うっかり忘れがちですのでご注意を・・・。
お客様に召し上がっていただく食材に制限があると、非常に頭を悩ませてしまいますよね。しかし、おもてなしの気持ちあふれる皆さんは、きっと豆を使ったり、野菜を使ったり、ワンパターンではなく、いろいろな違った味になるように工夫して食事を準備なさることと思います。
ベジタリアンの方は、初めて食べる場所では、「これ、本当に動物性食品が入っていないよね・・・」と心配をしがちです。おそるおそる食事を口に運ぶことのないように、ベジタリアンであることをこちらがきちんと知っていること、また、食材を伝えながらご提供すると安心していただけます。
また、もしお肉を使っていないのに、見た目がお肉のような食品などを出す場合も、丁寧に材料を伝えながらお出しすると、とても喜んで頂けますよ。気に入って、作り方を聞かれることがあるかもしれません。
世界的にみて、ベジタリアン人口・ベジタリアン市場は増加の傾向にあります。なぜ、ベジタリアンになったのかの主な理由を5つにまとめました。
世界でベジタリアン人口が最も多いインドは、国民の半数以上を占めるとされています。これは、インド発祥のヒンドゥー教とジャイナ教のように、世界の宗教の中には、菜食主義を奨励しているものがあるためです。尚、仏教では自分の手で殺生をすることは禁じられていますが、肉食の禁止については宗派によって異なっています。
例えば、赤肉(牛・豚・羊肉などの肉)や加工肉は、人に対して発がん性があるからと、健康リスクのことを考えて、肉を避けベジタリアンになるなどが、健康上の理由です。体質的に肉や乳製品が合わず、必然的にベジタリアンになる人もいます。
動物愛護や動物福祉の観点から、動物の不適切な扱い方や動物を殺すことは、倫理的に許されないと考える人もいます。例えば、過密状態での飼育、フォアグラのための強制給餌などに反対して肉食をやめるのが、倫理上の理由です。
畜産業をすることが環境に悪いと考えたり、不足する食糧問題の解決策として、肉の生産量・消費量を減らしたいと考えて、ベジタリアンになる人もいます。
①~④までの個人の信念による理由とは少し異なりますが、家族や親しい人、また憧れの人がベジタリアン ということから影響を受けて、ベジタリアンになる人もいます。
世界的な有名人でベジタリアンと言えば、マドンナ、アリアナ・グランデ、ビヨンセ、スティーブ・ジョブズ など、他にも多くの著名人が知られています。例えば、ビヨンセは、環境保護や健康上の理由、倫理的観点から、ヴィ―ガンになりましたが、ヴィーガンの普及活動もしていて、“ヴィーガンに転向して抽選にあたったファンの人には、30年間ビヨンセのコンサートが無料”、というキャンペーンを行っていました。皆さんは、これを聞いて、ヴィーガンになろうと思ったでしょうか・・・(笑)
今回は 楽しく異文化理解!ベジタリアン12種類とベジタリアンである5つの理由 を見てきました。この記事をお読みの方は、おそらくベジタリアンの人と接する時に備えてどうしたらよいか、ということで不安があるのではないかと思います。記事内にも書きましたが、まずは、「ベジタリアンと言っても、多種多様であるので、個別に質問する」ということが大事です。そして、丁寧に食材を伝えるというのも、気持ちが伝わる接客ポイントです。
また、世界のベジタリアン人口は増えているので、周囲の人にベジタリアンがいなくても、ベジタリアンの人が来たら、こういうものをお出ししよう、とあらかじめ提供できる料理をイメージしておかれるとよいかと思います。ベジタリアンの方への対応や接客支援、また、どのような英語でご要望を確認するかなどを楽しく身につける接客英会話研修も行っていますので、よろしければ お気軽にお問合せください。(接客支援・接客英会話研修などのお問合せはこちら→ https://4cs-i.com/contact/ )
それではまた次回、お会いしましょう。最後までお読み頂いてありがとうございました!
〈2021年12月14日投稿〉
株式会社フォーシーズインターナショナル
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