「多くのジェスチャーは覚えられないから、接客の現場で頻度の高いものだけ知りたい」
「海外ゲストがウィンク。どういう意味?」
「英語で伝えられないからジェスチャーにしたけれど、通じていないみたい・・・」
こういった声に おこたえします。
【本記事の内容】
接客販売でよく使われる 知っておきたい世界のジェスチャー10選
✔ 記事の信頼性
私たちは、客室乗務員や外資系企業で働いた経験のあるメンバーが集まり、“国際標準の接客” を専門として、日本・海外 両方の 大事なお客様への対応に特化したコンサルティング&研修 をしています。
個人レッスンから、飲食店・小売店、企業や学校、オリンピックや コンサート、G20ほか 多種多様な現場に関わってきました。そんな経験から、この記事が皆さまのお役に立てたら嬉しいです!
(㈱フォーシーズインターナショナルの情報についてはこちら)
皆さんのなかには、「外国語が苦手だけど、身ぶり手ぶりでお客様とやり取りできている」「ジェスチャーで通じるから、英会話はいらないかな。」と思っている人もいらっしゃるかもしれません。
ジェスチャーとは、言葉による表現の補助として、気持ちや意志を表したり相手に伝えたりする 身振り手振り・表情などを意味します。 話をしながら適切なジェスチャーを使うことによって、相手の理解を深めたり、強く印象付けたりすることができる、非言語コミュニケーションの1つです。
ジェスチャーやボディランゲージは、とても有効なコミュニケーションツールになる一方で、同じ文化背景を持たない人に、とても恐ろしい誤解を招くこともあります。ある一つのしぐさの意味が、それぞれの国・文化・民族によって異なるため、指を動かす、首をかしげるなどといった、何でもないしぐさが誤解の種になることがあるのです。 じゃあ、世界のジェスチャーを覚えよう!と思っても、なかなか全部マスターするのは難しいです(苦笑)。 というわけで、接客の現場で知っておきたい 頻度の高いものを優先して、今日はご紹介したいと思います。
まず、海外のお客様がこんなジェスチャーをするかもしれない、というものからみていきましょう。 皆さんが、どんな意味のジェスチャーか、どう対応をしたらよいか ピンとくるために、ぜひ知っておきましょう♬
日本では「ウィンク」は、相手に対して恋愛感情を持っている場合にするもの、という印象が強いのではないでしょうか? 私どもの接客英会話研修で、たまに「お客様にウィンクされたんだけど、自分に気があるという意味だったのか?」と質問を受けることもあります。 日本では一般的ではない「ウインク」ですが、欧米では頻繁に使われるボディランゲージです。
いろんな意味で幅広く使われますので、まとめてみました。
・気軽な挨拶や、挨拶代わりに
・お願いしますね の意味
・内緒ですよ の意味
・冗談で言ってますよ の意味
接客の現場で、お客様にウィンクされると、ドキッとしてしまうかもしれませんが(笑)「今のは挨拶だな」「ジョークですよ、の意味だな」などと判断しましょう。
レストランの入り口で、指で何かの合図を出されたけれど、「え? どういう意味??」となったご経験もあるかもしれません。 日本では、数字を指で示す時、人差し指だけ立てると「1」、中指をあわせて「2」、薬指もあわえて「3」、小指もあわせて「4」、親指もあわせると「5」という順番で指を立てていきますよね。 アメリカも同じ数え方・数の示し方です。
しかし、ヨーロッパでは、親指から小指という順番で、指を立てて数を示します。実際やってみると、3や4を示す指は、結構キツいかもしれません(笑) 飲食店の入口で、親指・人差し指・中指を立てた ハンドジェスチャーは、「3名です」という意味ですね。 もちろん、こちらも同じジェスチャーで返す必要はなく、念のため、言葉で確認するといいですね。
インドやバングラデシュではどうでしょうか? 指を使って数を示しますが、これまで紹介した国々と、発想が異なります。何本の指を立てるかで示すのではなく、指の関節を使って表すのです。
手のひらをパーにして、親指を使って、他の指に各3つずつある関節を指し示します。まずは小指の一番下のシワ部分が「1」、小指の下から2番目が「2」、小指の一番上のシワ部分が「3」。そのまま同じように、薬指も一番下の関節を「4」とし、順番に上に上がって行き、中指や人差し指の関節も使って、数えていきます。そうすると、合計親指以外の4本の3つの関節で、「1~12」まで表すことができます。
インドでは、「はい」と返答する時は、首を縦ではなく、左右に小刻みに揺らすようにかしげます。 「こちらでよろしいでしょうか?」といって、相手が首を横に揺らすと、「ダメなの?!」と思ってしまい、戸惑いますよね(笑) 実際に、慣れるまでは困惑するかと思います。インドだけでなく、ネパール・バングラデシュ・スリランカ・パキスタンも同様です。
また、地理的に少し離れますが、ブルガリアも、「はい」で首を横に振り、「いいえ」で首を縦に振ります。 首が縦方向に動くと「はい」・横方向に動くと「いいえ」というのは、万国共通では全くありませんので、早とちりしないようにしましょう。
両手でVサインをして、その指を2回ほど軽く曲げる 蟹のようなハンドジェスチャーは、会話のなかで使われ、英語で “Air quotes” と呼ばれます。指を曲げる動きで、引用符 “ ” (クオーテーションマーク)を表現しています。 通常、引用符が書き言葉で使われる時は、言葉を強調したり、引用するために用いられますが、会話では、「皮肉・反論・からかい」などの意味を込めて使われることが一般的です。
例えば、クラスのみんなが持っているから、このおもちゃを買ってほしい、という子供に対して、「そう。 “みんな ” が持ってるのね。」 この “みんな” を言う時に、「本当に全員というわけじゃないよね」という気持ちを込めて、“みんな” と言うタイミングで、Vサインで指を曲げる、そんな使い方です。
飲食店で、働く皆さんに対して、空中に何か書くようなジェスチャーを、外国人のお客様がしたら、どういう意味でしょうか?
これは「お会計をお願いします。」という意味です。日本では両手の人差し指を交差させる「✕」マークをする人が多いかもしれませんが、海外では、ペンを持つ手で、空に何か文字を書いている ジェスチャーが、クレジットカードの署名を表現し、「お会計」という意味になります。
ということで、このジェスチャーを見たら、テーブル会計なら、伝票などをお持ちしたり、レジで支払うなら場所をご案内しましょう。
手を合わせて合掌するポーズは、インドやタイなど、多くの東南アジアや南アジアで行われる挨拶です。 欧米では合掌の挨拶は 通常しませんが、コロナ禍になって、握手の代わりに、相手に触れない挨拶として 使われることがあります。例えば、イギリスのチャールズ皇太子は、国内でイギリス人に対して 合掌の挨拶をなさっている様子が、頻繁にメディアで見られます。
また、新型コロナウィルス発生以前も、訪日外国人観光客が、日本人に対して合掌して挨拶することは、時々ありました。 ホテルやレストランの入り口で合掌、帰り際に合掌、また飛行機の機内でも、欧米の乗客の方々が、私達日本人フライトアテンダントに対して、よく合掌で挨拶をなさっていました。
これは、なぜかというと・・・
・欧米から見ると、アジアは一括りとして、アジア各国で、合掌が挨拶の基本だと信じている
・訪日前に、タイやインドほかアジアの国々を旅行していて、合掌に慣れたのでそのままし続けている
・日本は仏教の国だから、仏教の象徴「合掌ポーズ」が正式な挨拶だと思っている
などが理由としてあげられるでしょう。確かに、私たちも「いただきます・ごちそうさま」の時には合掌しますもんね。
日本では、人差し指と親指で◯を作って OKというサインを よく出すことがありますよね。 実は、アメリカでは、これが人種差別のサインと理解されるため、最近では注意が必要なサインになっています。 以前は何でもなかったことですが、今では「白人至上主義」のシンボルに使われるようになり、人種差別の意味に解釈されることも増えています。実際に、アメリカの某テーマパークで、着ぐるみのキャラクターが子供と記念写真を撮る時に、OKマークのハンドジェスチャーをしたことで、そのご両親が激怒して、テーマパークは謝罪、着ぐるみの 中の人は解雇になっています。
アメリカ以外でも、例えばフランスでは、このサインは「ゼロ」とか「無能・役立たず」などという意味を示しますし、ブラジルなど南米の国では、相手を罵る時に使うサインですので、危険な目にあわないためにも、十分に気をつけましょう。
日本では、話を聞いている時、うなづいたり、あいづちをうったりがとても頻繁である、という特徴があります。英語のあいづちの記事( → 会話がはずむ英語のあいづちとコツ【あいづち21選】)でも書きましたが、あいづちやうなづきが多いと、早く話を終わらせてほしいという、相手を急かす意味になったり、落ち着きなく真剣に聞いていない印象になってしまいます。小売店の店員さんが会話を盛り上げようと、一生懸命、あいづちやうなづきをすると逆効果ですので、相手の目をしっかり見て、お客様の話を聞いていることを目線で伝えましょう。
「いえいえ」と顔の前で左右に手を振るジェスチャーは、「違います」の意思表示や、謙遜や遠慮をする時に、日本人がよくしがちですが、そのような意味には理解されないばかりか、「相手が臭う」とか「相手の頭が悪い」という とても失礼なジェスチャーに捉えられてしまいます・・・。 言葉で No と言うようにしましょう。また、謙遜や遠慮自体が海外ゲストには理解されづらいので、お店やあなたのことを褒めてもらった時には、謙遜せず、Thank you と答えるといいですよ。
今回は 【楽しく異文化理解】接客販売でよく使われる 知っておきたい世界のジェスチャー10選 を見てきました。「これは日本だけでしか通じないだろう」と思えるジェスチャーは、気を付けようと思えるので、まだリスクは低いですが、問題は「このジェスチャーは絶対に世界共通!」と疑いもしない場合です。身振り手振りで通じる場合もあるかもしれませんが、基本的に ジェスチャーは言葉を補完するもの、また世界共通でないために、大きな誤解やトラブルが生じる可能性をぜひ知っておきましょう。
今日の10選のうち、例えば、欧米のお客様が合掌の挨拶をなさったら、こちらはどうしたらよいのか・・・、など、よくある疑問や失敗例を含めてロールプレイやワークを通して、楽しく異文化コミュニケーションを身につける研修や支援も行っていますので、よろしければ お気軽にお問合せください。(異文化理解研修・海外対応支援などのお問合せはこちら→ https://4cs-i.com/contact/ )
それではまた次回、お会いしましょう。最後までお読み頂いてありがとうございました!
〈2022年3月11日投稿〉
株式会社フォーシーズインターナショナル
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