「海外では、行間を読むことってないの?」
「外国の人に、気持ちを察してもらえないのが嫌だなぁと思う」
「海外の人との会話で、気を付けることを知りたい」
こういった声に おこたえします。
【本記事の内容】
✔ 記事の信頼性
私たちは、客室乗務員や外資系企業で働いた経験のあるメンバーが集まり、“国際標準の接客” を専門として、日本・海外 両方の 大事なお客様への対応に特化したコンサルティング&研修 をしています。
個人レッスンから、飲食店・小売店、企業や学校、オリンピックや コンサート、G20ほか 多種多様な現場に関わってきました。そんな経験から、この記事が皆さまのお役に立てたら嬉しいです!
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自分とは違う文化背景を持つ人と接する際に、知っておきたいことの一つとして、ハイコンテクスト・ローコンテクストがあります。普段の生活でそんなに頻繁に使う言葉でもないので、初めて聞く方も多いかと思います。
今日は、ハイコンテクスト・ローコンテクストがどういう意味か、また海外の人や、自分とは共通理解が少ない人とコミュニケーションをとる時に頭の片隅に置いておくとよいことなどをご紹介したいと思います。
まず、この2つの言葉に共通する、コンテクストという言葉の意味からみていきましょう。コンテクストとは、日本語では「文脈」「脈絡」、また「状況」や「前後関係」「背景」と訳されます。そして、この「文脈」は、互いの文化の共有度によって左右されます。このように言語・価値観・考え方・体験などの共有はコミュニケーションの基盤となるものです。そのため、他の人とコミュニケーションを行ううえで欠かせない「文化の共有度合い」という意味でも、「コンテクスト」は使われ、ハイコンテクストは、他の人と共有度合いが高い(ハイ:high)こと、ローコンテクストは、他の人と共有度合が低い(ロー:low)ことを指します。
まず、ハイコンテクスト文化から みていきましょう。ハイコンテクスト文化では、他の人と言語・価値観・考え方・体験などの共有度合が高いため、お互いに多くを語らなくても、以心伝心で相手の意図を察しやすい状態にあります。日本をはじめとして、多くのアジアの国々は、ハイコンテクスト文化に属しています。日本で、「あうんの呼吸」「空気を読む」「忖度する」「一を聞いて十を知る」など、さまざまな「ハイコンテクスト文化の特徴」をあらわす言葉がよく使われることからも納得できるのではないでしょうか。
このようなハイコンテクスト文化では、例えば、はっきりと「嫌だ!」と言わなくても、相手が言葉以外の様子などから判断して、「あまり乗り気ではないだろう」などと察してくれますので、お互いに、わりとラクにコミュニケーションができることが多いでしょう。
ただ、皆さんもご経験があるかもしれませんが、いくらハイコンテクスト文化にいる人同士と言っても、すべてのケースでいつでも正しく、読心術のように、相手が気持ちを理解してくれるわけではなく、「え?なぜわかってくれないの・・・?」 とガッカリしてしまうこともありますよね(苦笑) だからといって、反対に、誰かが一言話すたびに、「それはなぜやるのか、どのようにやるのか、なぜ今なのか?」など、突き詰めて細かなことを毎回質問する人は、「もー、いちいち聞かないでよ」と、少々煙たがられるかもしれません。
このような文化が、ハイコンテクスト文化に特有のコミュニケーションです。私達がなじんでいるコミュニケーションの様式なので、ハイコンテクスト文化については、比較的イメージしやすいかと思います。それでは、次は、ローコンテクスト文化についてみていきましょう。
ローコンテクスト文化では、他の人と言語・価値観・考え方・体験などの共有度合が低いため、はっきり言わなければ相手の意図が全くわからない という状態にあります。地域でいうと、欧米諸国はローコンテクスト文化に属するといわれます。
ローコンテクスト文化では、言わなければ分かり合えない・言葉がないのに相手の考えを正しく想像するなんて出来ない、という考えが前提にありますので、とても細かく確認し合います。 不明なところはないか、事前に伝え忘れているところはないかなど、徹底的に確認しあうのが基本ですので、不明なところを細かく尋ねる姿勢は、迷惑がられるどころか、安心&信頼できるコミュニケーションの姿勢 と理解されます。
ローコンテクスト文化では、相手の言葉通りに理解するのがふつうです。もし、日本人が、「あー、それは難しいです。」と言った場合、断っているとは理解されず、「難易度が高いということは分かった。断るとは言われていない。」となります(笑) 「え?!そうなの?」と驚いた方、ぜひ、次のセクションで書いている、ハイコンテクスト文化の人とローコンテクスト文化の人がコミュニケーションをする時に注意した方がよいこと について、確認してくださいね。
さて、これまでハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化、それぞれのコミュニケーションスタイルについて 見てきました。 では、ハイコンテクスト文化に慣れた人が、外国や異なる文化背景の人と接する時には、どのような点に注意してコミュニケーションをとればよいのかについて、考えていきましょう。
先ほど、「難しい」という言葉は、「お断りではなく、難易度の話」として理解されると書きました。そのような具体例は、他にもたくさんありますが、まず、初めのステップとして取り組みたいのは、「会話において、省略をしないこと」です。省略をしても正確に伝わるのは、お互いの考えや価値観などの共有度合いが高い人とだけです。日本人同士だけとか、自分と似た人とだけ接する機会がこれまで多かった人は、自分が多くの情報を省略して話していることすら、気づいていないケースがあります。 「これ、ちゃんとしておいてね。」と指示をするとか、「とりあえずがんばろう!」と言うとか、「適切な服装で」などいう指定は、すべて曖昧過ぎて、情報が少なく、ローコンテクスト文化の人には “謎” でしかありません。
また、このような「省略せず言葉に出すコミュニケーション」が大切なのは、何も海外の人との間にかぎった話ではなく、同じ日本人同士であっても、前提となる文化をあまり共有していない相手とのやりとり においても大切です。 実際に、違う世代や 違う生活環境など、共有度合いの少ない日本人とのやり取りで 困った経験をお持ちの方は、「言葉に出すコミュニケーションの重要性」が容易に想像できるのではないでしょうか。 私どもの研修や海外対応の支援でお手伝いさせていただいた会社様からよく耳にするのは、「ハイコンテクスト文化の人が、ローコンテクスト文化のコミュニケーションスタイルをしようとすると、最初のうちは、とても疲れる(苦笑)」という意見です。「あー、これも言っておかないといけないんだなぁ」「ここまで言わなきゃいけないか・・・」ということで疲れてくるわけです(笑)。 ただ、ローコンテクスト文化の人に察してもらうことを期待して、お任せすると、自分の想像とかけはなれた結果が、後日報告されることになり、そちらのフォローのための疲労・焦りのほうが、何倍も大変かと思います・・・。 ですから、トラブル予防のためのコミュニケーションを心掛けることを 強くお勧めします。
今回は 【楽しく異文化理解】ハイコンテクスト・ローコンテクストとは? コミュニケーション方法の違い を見てきました。海外の人と接する時は、どうしても英語やその他の外国語のことばかりに目が向きがちですが、実際には、どのようなコミュニケーションの仕方をするかがとても大事です。プロの通訳者が付く場合でも、どのような日本語にするべきかを考えながら話すとよいですね。
体にしみついたコミュニケーションスタイルを変えるのは、なかなか難しいもので、ハイコンテクスト文化の日本人が、かなり頑張って直接的に話したつもりでも、ローコンテクスト文化の人にとってはまだまだ明確さが不足している、ということもよくあります。ロールプレイやワークを通して、楽しく異文化コミュニケーションを身につける研修や支援も行っていますので、よろしければ お気軽にお問合せください。(異文化理解研修・海外対応支援などのお問合せはこちら→ https://4cs-i.com/contact/ )
それではまた次回、お会いしましょう。最後までお読み頂いてありがとうございました!
〈2022年1月13日投稿〉
株式会社フォーシーズインターナショナル
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