「これまで自己流だったが、正しいお辞儀の仕方を知りたい」
「お辞儀や基本マナーを指導する立場になったので、ポイントを参考にしたい」
「お辞儀はなぜ頭を下げるの?など豆知識を得たい」
こういったお声に おこたえします。
【本記事の内容】
✔ 記事の信頼性
私たちは、客室乗務員や外資系企業で働いた経験のあるメンバーが集まり、“国際標準の接客” を専門として、日本・海外 両方の 大事なお客様への対応に特化したコンサルティング&研修 をしています。
個人レッスンから、飲食店・小売店、企業や学校、オリンピックや コンサート、G20サミットほか 多種多様な現場に関わってきました。そんな経験から、この記事が皆さまのお役に立てたら嬉しいです!
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お辞儀は、主に東アジアで見られる、伝統的な挨拶の行為です。挨拶だけでなく、お礼・お詫びなどの気持ちを表す際にも使います。
欧米など海外では、お辞儀ではなく握手を 一般的な挨拶の行為として使いますが、限られた場面では、欧米でもお辞儀をします。海外での挨拶の様式については、別の記事で、国際マナーやプロトコールの一部として、ご紹介しますね。それでは、今日は日本のビジネスシーンにおける基本的なお辞儀をご一緒にみていきましょう!
接遇において大事な5つの原則「接遇マナー5原則」は、以下の通りです。
そのうちの一つである「態度(立ち居振る舞い)」には、立ち方・座り方・物の手渡し方ほか、多くありますが、その中でも、お辞儀は、“美しく 相手を敬う気持ちがあらわれるお辞儀” が出来る人と、そうでない人の差が大きい部分だと思います。(接客と接遇の違いや、接遇マナー5原則については、接遇マナー5原則の記事 をご覧ください。)
でも、安心してください! この記事を読んで、ポイントをおさえて練習をすれば、すぐに、「この人は、形ではない 気持ちのこもった お辞儀だな」と周囲から思ってもらえるようになりますよ。
お辞儀には3種類の型があります。それぞれ腰を折る角度が違い、どんな場面や目的でお辞儀をするかによって、3種類のお辞儀を使い分けます。
お礼や謝罪、見送りの時。腰を折る角度は、45度。目線は1メートル先の床を見ます。
お出迎えの時。腰を折る角度は、30度。目線は2メートル先の床を見ます。
人と廊下などですれ違う時。腰を折る角度は、15度。目線は3メートル先の床を見ます。
お辞儀の始まりと終わりは、どちらも姿勢の良い立ち姿です。手は、両手を体の前で軽く重ねる、または、自然に体の横に添わせます。
お辞儀の動きは、簡単に言うと、姿勢の良い立ち姿から「腰を折って」また戻る、という動きです。
そもそも、なぜこのような動きでお辞儀がされるようになったかの理由は(諸説ありますが)
・頭という自分の体の大切な部位を、相手の目の前で、低めて出すことで、相手を信用していることを示す
・背中の後ろ側に何も武器を持っておらず、自分は相手に対して敵意がないことを示す
ことから始まったと言われています。
ですから、きちんと腰を折らずに、背中を軽く曲げるだけだったり、顔だけを前方に突き出すのは、お辞儀ではありません。かえって失礼な印象を与えてしまいます。
結論から言うと、どちらでも良い、職場ごとにきめるのが良い、と言えるでしょう。なぜなら、両方に主張の根拠があるからです。世の中では右利きの人が多いですが、
利き手の右手は武器を持つ攻撃の手という理解から、それを左手で隠して、敵意がないことを示す、という説が、右手を下とする根拠です。
反対の主張は、特にサービス業では、利き手の右手はお客様のお手伝いをしやすい手、という理解から、右手を上にしておくことで、いつでもすぐにお手伝いさせて頂けます、という意思表示を伝える、というもの。
ですので、例えば、右手が上か下かということが理由で、皆さんが就職試験で不合格になったり、接客業をしていて、お客様からクレームの声が上がったりするようなことはありませんので、柔軟に、ご自身の周囲の人や職場の指定にあわせることをお勧めします。
さらに、この記事を読んでくださっている皆さんを混乱させるかもしれませんが、そもそも両手を重ねるのが間違いであるという意見もあります。 室町時代や江戸時代には、武家の礼法の流派が生まれたのですが、そのなかの一つであり、現代まで最も普及している小笠原流では、男女の差なく、お辞儀の手は、最初から最後まで、自然におろして両ももに添わせるのが、本来の日本のお辞儀だとしています。
その後、時を経て、ビジネス上の慣習として、接客ほかの場面で、お手伝いをさせて頂く意思表示として手を体の前で重ねることにつながっていったわけですが、この「お辞儀の手」についてだけではなく、“正しいマナー”については、いくつかの異なる意見がある場合もあり、そんな時は皆さんも困ってしまうことがあるかもしれません。
大切なことは、どちらだけが良い・悪い、自分のやり方が正しい、あの人のやり方は間違っていると主張するのではなく、両方の主張の根拠をかんがえて、柔軟に受け入れることが大切ではないかと思います。元々、他の人と、心地良く過ごすためのマナーが、逆に、諍いの種になっては本末転倒ですものね。
「おはようございます」と言葉をいいながらお辞儀をすることを、二つのことを同時にするので、「同時礼」と言います。
また、言葉を言い終わってから、お辞儀をするのは、二つの行為を分けているので、「分離礼」といいます。
同時礼は、あることをしながら別のことを同時進行で行うことから、分離礼よりもカジュアルな場面で使います。 緊張から、分離礼をするつもりが、同時礼になってしまう人をよく見かけますが、きちんとした場面では、分離礼をしましょう。
お辞儀の基本のところで、会釈・敬礼・最敬礼の3つを紹介し、それぞれのお辞儀の角度の違いを説明しましたが、実際のところ、角度をちょっと間違ったとしても、それが相手にあたえる印象の違いは少ないと言えます。実は角度というポイントより、印象を左右するのは、お辞儀の動きのタイミングです。以下のタイミング、5カウントでお辞儀を行うと、皆さんのおもてなしや気持ちが相手によく伝わります。
カウント①: 良い姿勢の立ち姿で、相手の目を見て笑顔で言葉を言う。「ありがとうございました。」など
カウント②: 背中は曲げず、すっと腰を折る。その位置でとめる。
カウント③~④: 2カウント分を使って、ゆっくり体を戻す。
カウント⑤: 良い立ち姿勢で、相手の目を笑顔で見る。
相手もお辞儀をしている場合、お辞儀をしている相手より後に頭を上げることで、良い印象を与えることができます。
相手がまだお辞儀をしているかは、視界に入ってきますので、相手の様子をうかがいながら、ゆっくり頭を上げるといいですね。早く頭を上げてしまうと、「あ、まだだった」と何度もお辞儀することになり、ペコペコと落ち着きがない印象を与えてしまうためです。
外国の映画で、日本人のビジネスマンをあらわすのに、お辞儀のシーンがよく使われますが、お互いの頭を上げるタイミングが合わずに、延々と頭をもう一度下げたり上げたり、二人でやっているシーンを思い出します(笑)
一回でびしっとキメるためにも、先ほどご紹介した5カウントの2ステップ目の後で、きちんととめて、相手に合わせながら、頭を一緒にあげるとうまくいきます。
今回は、お辞儀の基本と、気持ちが伝わる3つのポイントについてみてきました。お辞儀は、言葉があってもなくても、また近い距離でも遠い距離でも、相手とコミュニケーションがとれる、素晴らしい方法です。きちんとしたお辞儀を自信をもってすることで、相手に対する敬意が示せたり、信頼感あふれる印象をもってもらえるようになります。また、そんな方々が働く職場は、とてもピリッと空気が引き締まります。
お辞儀や立ち居振る舞いを含め、お客様のご案内を一連のリハーサルとして、楽しくトレーニングできる研修をご提供していますので、よろしければ お気軽にお問合せください。(レッスンや接客支援・監修・研修のお問合せはこちら→ https://4cs-i.com/contact/ )
それではまた次回、お会いしましょう。最後までお読み頂いてありがとうございました!
〈2021年11月27日投稿〉
株式会社フォーシーズインターナショナル
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