「イスラム教徒が多い国はどこ?」
「断食っていつ? 本当に全然食べないの?」
「全然イスラム教を知らない人でも分かる、簡単な説明が知りたい」
こういった声に おこたえします。
【本記事の内容】
おもてなしの前に、これだけは知っておきたいイスラム教の基礎知識3つ
✔ 記事の信頼性
私たちは、客室乗務員や外資系企業で働いた経験のあるメンバーが集まり、“国際標準の接客” を専門として、日本・海外 両方の 大事なお客様への対応に特化したコンサルティング&研修 をしています。
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イスラム教の発祥がアラビア半島であることから、イスラム教徒が最も多いのは、中東だと思われがちですが、実は、イスラム教徒が一番多いのはアジアです。世界のイスラム教徒数の約6割がアジアで、①インドネシア 2億3000万人 ②インド 2億1000万人 ③パキスタン 2億人 ④バングラディシュ 1億5000万人(*2020年推計人口)だと聞くと、驚くのではないでしょうか。
世界的にみて、イスラム教徒の人口は、ぐんぐん伸びており、米シンクタンク「ピュー研究所」(本部:ワシントン)は、「イスラム教が世界で最も成長の速い宗教であり、世界人口の平均成長率より2倍近いスピードで増える」、「宗教別の人口では、2070年までにキリスト教と肩を並べ、2100年にはキリスト教を追い越し、世界最大の宗教になる」という調査を発表しています。 日本では、あまりイスラム教やイスラム教徒に馴染みがなく、実感できないかもしれませんが、イスラム教徒数は確実に世界中で増加しています。日本を訪れるイスラム教徒の観光客数の今後の伸びも考えて、日本にいらっしゃるイスラム教徒の方々におもてなしをする前に、ぜひ知っておきたい基本をおさえておきましょう。
7世紀に、預言者ムハンマドが 神の啓示を受けたことがイスラム教の始まりです。「イスラム」とは、正しくはアラビア語では「イスラーム」といいますが、「神への帰依(きえ)」、つまり「神にすべてをゆだねること」を意味します。 イスラム教は、唯一神「アッラー」を信じる一神教で、偶像崇拝(例えば、仏教における仏像)は禁止されています。イスラム教徒のことを、アラビア語で「ムスリム」といいます。(イスラム教徒の女性は「ムスリマ」と呼ばれます。)
イスラムの信仰の基礎となっているのが、神が預言者ムハンマドに伝えた言葉をまとめた、全114章からなる イスラム教の聖典「コーラン」です。アラビア語では「クルアーン」といい、「読誦すべきもの」という意味です。アラビア語で声に出して読まれることを前提としているため、翻訳したものは聖典としては扱われません。
コーランは神の言葉が書かれた本なので、コーランそのものを粗末に扱う行為(例えば燃やすとか踏むなどといった行為)は、ムスリムにとって神を粗末に扱うことを意味します。パキスタンなどのいくつかのイスラム教の国では、コーランを汚したりすることは法律で禁じられています。 それでは、次のセクションで、このコーランに書かれていて、ムスリムの最も大切な義務とされている「六信五行」について、みていきましょう。
イスラム教に欠かせない「六信五行」は、「ムスリムがその存在を信じるべき6つの事柄・ムスリムが行うべき5つの事柄」 を指します。 よく耳にする断食(ラマダン)や礼拝は、五行の中に含まれています。
〔1〕神〔2〕天使〔3〕啓典〔4〕預言者〔5〕来世〔6〕天命 が、六信です。
神の存在を信じること。その神が唯一であり 他にはない、というのが大事な点です。
神の命令を人間が忠実に行うために働く存在が、天使です。人間の善行と悪行を記録する天使がいて、善行が多ければ、天国に行けることとなっています。
神の言葉を集めた書物が啓典。啓典の代表が「コーラン」(クルアーン)です。
未来を予言する“予言者”ではなく、髪の言葉をあずかって、他の人々に伝える人のことを預言者といいます。預言者のうち、最後で最も偉大な預言者がムハンマド とされます。
死後の世界が、来世ですが、イスラム教では、「現世が仮の世界、来世が本当の世界」と考え、来世で天国に行った人は、その後、永遠に天国に住めるとされます。
この世のすべての事は、神の意志によって定められている、という意味。ムスリムは、よく「インシャ・アッラー」という言葉を使います。これは、「すべての事は神の思し召し」「神がお望みなら」という意味で、未来のことは人間が決められることではないという考え方によるものです。
イスラム圏の人と一緒に働き、日本人がムスリムに「3時間でこの仕事をしてもらえる?」などと今後のスケジュールや早さの見込みを聞いた時、「インシャ・アッラー」という言葉が返ってきて、確約してもらえず、「あてにならない」、「神様のせいにしないでほしい」とヤキモキすることもよくあります・・・。
〔1〕信仰告白〔2〕礼拝〔3〕喜捨〔4〕断食〔5〕巡礼
信じるだけでなく、行動が伴わなければならず、その基本となるのが五行です。
入信の際、二人の証人の前で「アッラー以外に神はなく、ムハンマドは神の使徒」とアラビア語で宣言するほか、日々の礼拝のたびに、この信仰告白を唱えます。
1日に5回、メッカの方向に向かって礼拝をします。夜明け、正午、午後、日没、夜の計5回ですが、毎日きちんと時刻も定められています。 訪日ムスリム向け接客のために、礼拝については、また詳しく別の記事でご紹介したいと思います。
自分の財産の一部を、貧しい人に分け与えることです。財産とは、農作物や家畜、現金などを指します。喜捨をした人は、善行をしたことになりますので、それだけ来世での天国に近づくことを意味します。
イスラム歴の9番目の月であるラマダン月の間は、飲食・喫煙・闘争を含む 様々な欲望を断ちます。 よく誤解されているのですが、「ラマダン」が「断食」という意味ではなく、「ラマダン」は、「イスラム歴9月」の意味です。イスラム歴とは、イスラム教が採用している太陽暦で、西暦と違って1年は354日です。1年で11日ずつ早まるため、毎年ラマダンの期間が異なります。
また他にも、「1か月もの間、一度も何も口にせず、ずっと断食するの?!」とよく誤解されますが、断食するのは日中だけで、日の出から日没までの飲食や、水分の摂取も禁じられています。 また、病気の人、妊娠中や授乳中の人、高齢者や乳幼児は、断食を免除されています。
一生に一度、イスラム最大の整地であるメッカに巡礼すること。経済的に、また体力的に可能な人だけ、実践すべきこととされているのが、他の五行と違います。
今回は 【楽しく異文化理解】おもてなしの前に、これだけは知っておきたいイスラム教の基礎知識3つ を見てきました。 ムスリム向けの接客として、豚肉やアルコールはNG、などと最低限の断片的な知識があっても、イスラム教のイメージがあまりわかないかと思いますが、イスラム教の基礎知識を少しでも知ることで、ムスリムへの印象が変わったり、訪日ムスリムに好まれる接客・好まれない接客を考えるヒントとして役立ちます。
尚、同じムスリムでも、年齢、性別、生活する国や地域、また信仰する宗派などによって習慣は大きく異なり、個人差もあるため、一言では言い切れない部分が多々あります。こんな場合はどうしたらよいのか・・・、など、よくある疑問や失敗例を含めてロールプレイやワークを通して、楽しく異文化コミュニケーションを身につける研修や、接客受け入れ支援も行っていますので、よろしければ お気軽にお問合せください。(異文化理解研修・海外対応支援などのお問合せはこちら→ https://4cs-i.com/contact/ )
それではまた次回、お会いしましょう。最後までお読み頂いてありがとうございました!
〈2022年6月1日投稿〉
株式会社フォーシーズインターナショナル
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